「脳」は頭だけじゃない?ミツバチの脳と神経節の役割
先日、お店に来られたお客さんと話していた時、「昨日の晩御飯は何を食べましたか」と聞かれ、すっと答えられなかったことがありました。知人に会った時にその話をすると、まだ若いのに大丈夫かと冗談まじりに笑われました。
人の記憶というのは曖昧なもので、思い出すのに時間がかかる事柄もあれば、箸にも棒にもかからない事柄に限ってすぐに思い出すことができるものです。忘れる=マイナスな事のように聞こえますが、忘れることにも意味があることを、外山滋比古著「思考の整理学」の中でこう書かれています。
頭をよく働かせるためには、この「忘れる」ことが、きわめて大切である。頭を効能率の工場にするためにも、どうしてもたえず忘れていく必要がある。[i]
積極的にすべてを忘れた方がよいということではなく、頭の中にあるゴチャゴチャした記憶の中で不要なものは忘れる(リフレッシュする)方法を実践しながら、頭の中の空間を整理した方が頭の回転を良くするためには必要なことだという。
記憶を保存するわたしたち人間の脳。人の脳を形成するニューロン(神経細胞)の数は、約1000億個あると言われています。昆虫は、平均すると約10万個あり、ミツバチは、約80万〜100万個あると言われています。昆虫の中でも発達した脳をミツバチは持っていることになりますね。では、この優れた脳を持つミツバチ。その脳はどのように働いているのか、掘り下げてみましょう。
ミツバチの脳の働きは、主に花の蜜を採る際に発揮されます。花の位置を覚える時に花の色、形、匂い、開花している時刻、場所を脳が覚えているようです。つまり、ミツバチの脳は、視覚情報の処理と記憶、学習を司っています。
さらに調べてみるともっと面白いことがわかってきました。脳以外にも、身体の胸や腹の体節に脳のような行動を制御する神経細胞の塊(神経節)があります。しかも、それぞれ異なった働きをします。たとえば、飛んだり歩いたりする運動は胸部の神経節が、呼吸や循環・交尾行動は腹部の神経節が制御することによって、より素早く動くことが可能になり、身体の機能を維持することができます。
つまり、ヒトの行動のすべてを制御しているのが、頭部にある1つの「巨大脳」であるのに対し、昆虫は各体節にある「微小脳」でそれぞれの行動の制御を担っているということです。
昆虫の身体にはたくさんの脳があると聞いた事がありましたが、こういうことだったのかと、ミツバチを通じて知ることができました。地球にはいろんな種類の生き物がいて、さまざまな進化を経て今を生きています。これから自分の脳とも上手に付き合っていきたいですね。

筆者:専務 山田
